天国はあるか、ないか?

天国はあるか、ないか。

私の答えは、もちろん、ある。

 

天国の最低条件は、監獄でないこと。

鉄格子などあって、外に出られない。

これでは、地獄になる。

 

人は、生まれながら、

意識や自我という牢に閉じ込められている。

中には、それを快適に感じる方もいるが。

私はとても不快。

できるだけ早く、自由になりたい。

 

天国は、いくら快適であっても、

時に、悲惨な目に合わないと、快適さを充分に味わうことができない。

快適さも長く続くと、飽きるのだ。

浦島太郎さんが竜宮から逃れたように、

時に、地獄も見たくなる。

 

そんなことを思えば、この世は、まさに、

天国に他ならない。

人はいつでも、おさらばできる。

 

さて、話は変わるが、

この世界を征服し、君臨する夢が実現したとする。

あなただけが、唯一の権力者で王様。

その他の大勢は、あなたの奴隷。

 

あなたは、身の安全のために、

奴隷たちを教育して、良心を植え付ける。

他人に危害を与えないという道徳。

人に悪いことをしないという健全な良心。

特に、王様に害を与えてはいけない。

特別に配慮し思いやりの心で接するという精神。
 
だが、あなたは王だから、自由にふるまっていい。
人を傷つけても、殺してもいい。
悪いことでも何でも自由にできる。
人を害するというのは、特別な快楽。これは癖になるが。
だが、大っぴらにはできないから、こっそりするしかないが。
 
だが、王もいつか、つまらなくなるだろう。
善意にあふれ、良心に忠誠な奴隷たちに囲まれて、
悪いことをするのに飽きるだろう。
そして、王様は奴隷たちの教育をやめ、
良心を植え付けるのを止め、
悪いことをする自由を許したという。
 
以上は、今朝の夢の中で、考えた短い物語り。
 
私の感覚では、
この世は、天国で楽園。
天国から退場する自由があるのが、とてもいい。
 
私の親しい友人(内科医)が、10年前に亡くなった。
高速道を運転中に、心臓の不調を感じて、パーキングに停車。
外の空気を吸っているうち、
「心臓が止まる」と同乗の奥さんに言ったという。
数秒後、意識が喪失したのだろう。
 
痛みが激しければ、人は意識を失う。
苦痛に耐えるには体力を要する。
もし、拷問のような激痛から解放されるなら、
それだけでも、よろこばしい。
 
人生の終わりは、いろいろだろうが、
自我や意識の牢獄から自由になれる、
それだけでも、祝福と云える。
 
気ままに生きて、最期に死という恩恵。
この世は天国に他ならない。