お金で買える幸せとは

多くの人の常識に

「お金(収入)が増えれば心配事が減って幸せになれる」という思い。

本当だろうか。

 

私は、お金が増えれば、それにつれて心配事も増える。という方が真実に近いと思う。

ただし、お金にとりつかれた人は除外するが。

 

今日の食べ物が買えない人を除き、

収入が増えるにつれ、心配事が増えていく。

貧しい人は、お金がないから、そもそも選択肢が少ない。

収入の範囲で生活するだけ。

 

お金が増えると、当然、選択肢が増える。

より良いもの、より快適、より満足を探さなくていけない。

 

例えば、演劇や歌舞伎が楽しみの人なら、

たびたび遠方まで行かなくてはいけない。

 

お金が増えると、使い切るのが難しくなり、

貯蓄や投資を考えるようになる。

 

投資となると、考慮しなくてはいけないことが、

より複雑に、より難しくなる。

情報収集や研究や勉強も必要になる。

そこには限界がない。

ついに、生活の全てをお金のやりくりに捧げるような、投資家となっていく。

簡潔に言えば、お金の献身的信者となる。

 

人の行動の動機、半分以上は、金銭とは無関係。

例えば、献血する人は、献血の趣旨に賛同するから。

 

もし、献血事業者が、献血の量を増やそうとして、

金銭報酬をうち出したとすれば、

結果は、悲惨だろう。

善意で献血している大多数が、拒否反応する。

 

ある幼稚園が、親の迎えに遅刻が多いというので、

遅刻する親に罰金をかけることにした。

そうすると、遅刻が急増。

 

それまでは、少し用事があっても、

園に迷惑をかけてはいけないという善意で、

遅刻を避けていた親たちが、

罰金を払えば、堂々と遅刻できるというルールに適応したのだ。

 

結婚市場は、完全競争と真反対。

相手(商品)の情報には限界がある。

結婚してみないと分からないことが多い。

だから、結婚前の同棲を勧める国もある。

 

外見(容姿や収入など)がいくら良くても、

中身までは分からないから、

適切な対価(市場価格)を決めることは不可能。

 

結婚制度を緩やかにして、離婚もしやすく、

さらに、不倫も認めて、複数の異性と同時交際も容認し、

競争を自由にすれば、市場価格が安定する、かと、問えば。

それも不可能だろう。

こころの世界は別世界。金銭で評価不能。嫉妬や愛憎。

 

人の相性は難しい。

ある人は、この人とならうまくいくが、あの人ではだめ。

さらに、付き合う間に、関係が良くなるか悪くなるか、それも不明。

互いの努力が効果あるとは限らない。

とても釣り合わない夫婦でも、いいことがある。

子どもが生まれると、問題はさらに複雑化。

 

一生は短い、やり直しはほぼできない。

 

結婚の問題に、いい解決法はない。

やってみないと分からないという事柄の典型例。

 

人の一生で、最大の問題が二つある。

一つは、誰と結婚するか。

一つは、どんな仕事を選ぶか。

 

仕事の方は、解決可能。

多様な仕事を試験的に試みる機会を増やせばいい。

いろいろとやれば、そのうちに

自分に合ったものが、分かってくる。

 

結婚だけは、どうしようもない。

お金があると、選択はさらに困難となる。

裸の自分を選んでいるのか、それとも外見(収入など)で選んでいるのか、

解くことのできない難問。

 

この世では、お金が増えると、比例して悩みも増える。