社会を変える力

言友会は、吃音のセルフヘルプグループ。

全言連(全国言友会連絡協議会)は、そのNPO全国組織。

全言連ニュース、最新号に、

南孝輔さんの投稿が載っている。

 

南さんは問いかける。

「吃音のある人は孤独だと思います。ですから、私の名刺には

吃音の孤独からの解放、合理的配慮を求めます、

というフレーズを書いています」

 

吃音でありながら生きる意味。

私たちを取り巻く家庭や地域社会、学校や職場がどうあることが喜ばしいのか。

私たちが生きているこの世界との関係をどうしたいのかを描く「グランドデザイン」。

私たちが望む社会をどうやったら作ることができるのか。

 

キーワードの一つは多様性だという。

個々人の違いを受け入れる。

もう一つは、

「私には吃音があります」と言えるようになる。個々人の成長。

 

さらに、社会を生きやすいものに変えていく、グランドデザイン。

それらは、全ての障害者の福利につながるもの。

 

吃音に対する理解を広め、差別を解消し、合理的配慮を求めるのは、

吃音の仲間のためだけでなく、障害者全体の福利にもなりえるように。

 

そのうえに、障害者だけでなく、

すべての人々の暮らしや生き方が、より実り多いものになるような、

そういうプラン、デザインが望ましい。

 

人は誰も皆、生きるのに苦労している。

生きづらさは、人に共通している。

重いか軽いか、

自覚している、いないの違いはあるが。

 

障害者の場合、

個々人で障害のあり方が、全く異なる。

ひとり一人がこの世で唯一の悩みをいだく。

乗り越えるには、各人が工夫し、独創せざるを得ない。

それができないときは、通用しているモデルを採用するしかない。

健常者も同じだろうが。

 

吃音では、

通用しているモデルが、そもそもない。

治療法もない。

各人が苦闘するしかない。

 

人間社会、一人でできないことは多い。

仲間がいれば、いくらか助けになる。

セルフヘルプグループとは、そういうもの。

人は友人や理解者が多いほど、この世の生きづらさが軽くなる。

 

個人では何もできなくても、

グループや仲間がいれば、少し前に進める。

 

今、ようやく、障害者への福祉が真剣に考えられ始めている。

障害者も世の一員として、

社会の中で幸せであることや、主権者・市民としての役割が、

認識され始めている。

 

障害者も、社会を変えていく力が期待されている。

健常者中心の社会ではなく、全ての人々のための社会。